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古代ワインの流通変遷と物流容器(アンフォラから樽へ)Vol. 1

1,ケルト文化圏の変遷(ハルシュタット文化圏からラテーヌ文化圏)


 「ケルト」一度は耳にした言葉かもしれません。しかしその詳細を知るひとは少ない

と思います。私はワインの樽の起源で単なるケルト(種族、文化)として、記憶してい

るだけで詳細については知りませんでした。そんなことも有り、ワイン文化の重要な事

象としてケルトとワインの関わりについて調べてみました。その結果一般的に言われて

いる(通説)への疑問や最新研究に触れることとなりました。以下稚拙な文章となりま

したが、まとめさせていただきました。


・ケルト文化の変遷(後期ケルト文化)


 ケルトについては中世から現代まで様々な研究がなされ、時代と共にその解釈が変容

し、20世紀後半まで様々な学説がありましたが、近年「ケルトの遺跡」の発掘や出土品

の化学分析がなされ新たな事実が解明され、その全容が少しずつ明らかにされてきまし

た。しかしながら多くのケルトに関する資料はケルト民族以外の人達の記述から類推さ

れる者が多く、直接ケルト人による記録は皆無に近いのが現実です。その中で明確であ

る史実は以下の通りです。


 ケルト人は青銅器時代に大陸の中部ヨーロッパの広がり、その後期から鉄器時代初期

に、現在のオーストリア、ザルツブルグの東50kmにあるハルシュタットを中心として

「ハルシュタット文化(Hallsttatt calture)BC1200~BC500年頃」を形成した。その

後、紀元前1世紀頃以後ギリシャやエトルリアからの影響を受け、現在のスイス、ニューシャテル近郊で「ラ・テーヌ文化(La tene culture)BC500~BC200年頃」を形成した。

 その後紀元前1世紀頃に入ると各地域のケルト人はローマにより征服され、ローマ化さ

れた。ブリテン島のケルト人もAC1世紀にイングランド、ウエールズはローマ支配下と

なり、ローマ文化の影響を受けた。



2、ケルト人(ガリア)のワイン交易


・港湾都市マッシリアの建設(BC500頃)


 ケルト人は鉱物、塩(岩塩)などを交易品としてワインなどをギリシャから買い付けた。

 交易の場として港湾都市マッシリアを建設(現在のマルセイユ)しワイン交易の拠点と

なった。


・ワインの交易ルート




 当時のワインの交易ルートは、アンフォーラの出土する破片により、交易ルートが判明している。


1 フランス、ナルローズ峠を経て、船でガロン河を下りボルドーに到達するルート

2 ローヌ河、ソーヌ河、モーゼル河,ライン河を経て北海に出るルート

3 1世紀になると直接大西洋に出てブリテン島までのルート

等が構築された。


・葡萄栽培地の北上


 ワイン消費の拡大につれ、運搬コストを低減するため、栽培地の北上を検討したが、当

時の葡萄は寒冷な気象に耐えられず、その北限はフランス中央高地の南に広がるセヴェン

ヌ高地であり、それ以北の葡萄の栽培は困難であった。またローヌ河沿いではコートロテ

ィ、エルミタージュ、タル河の航行可能な地点ではガイヤックであった。


 ローマがガリアのナルボ(現在のナルボンヌ)地方を属州とした頃(紀元前120年頃)

の葡萄栽培は地中海沿岸に広がりを見せたが前述の通り、当時の葡萄は寒冷な気候に適合

できなかったため、葡萄栽培の拡大を求めていたローマは寒冷耐性品種を探していた。


 その結果、ガリア部族の一つアオブロゲス族の栽培する葡萄は耐寒性が有り、(現ドフ

ィネ地方、現在の「リヨン」の南東約50km)ヴィエンヌを中心とする地域で葡萄栽培を

行っていた。その葡萄を使用しローマ人が選定技術、栽培技術を指導し、ヴィエンナとロ

ーヌ河右岸の急斜面などに植栽され、寒冷耐性品種の栽培地が拡大して行った。


 1世紀後半にはガイヤック地域(タル河流域現在のトゥールーズ近郊)やボルドーでも

葡萄栽培が始まった。推測ではあるがクラディウス亭のブリタニア(現イギリス)遠征を

機に大西洋経由のワイン輸出が大幅に増加したと考えられる。


Vol.2へ続く







葡萄の騎士の会

幹事

白石和光


造園家


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