長野ワインならこの方以上の専門家はないという、葡萄の騎士の会、剣持春夫顧問の絶大なお力添えいただいたおかげで素晴らしいツアーを実施することができました。
第1日目
集合場所のJR塩尻駅に特急あずさ5号で10時30分到着、すぐに専用車にて出発した。
井筒ワイナリー
営業部の臼井正輝氏の御案内で農園の見学。
1933年設立された、東西5Km南北3Kmの桔梗ヶ原一帯にある自社農園27haと
130社50haの契約農家の葡萄で純国産ワインを造る老舗ワイナリー。
自社農園としては日本3位の広さ。地元のブドウのみを使用する主義。
入口の立派なメルローの古木がメルローの国、桔梗ヶ原にやって来たと実感させてくれる
。
棚式スマートマイヨルガーのメルローの畑を見学。季節柄まだグリーンの房が美しい。
塩尻は雨が少ないのだが、近年梅雨明けから降り出す年が増えてきたとのこと。
温暖化も心配だが、ここは冬の凍害がなくなりプラスである。700mの標高と高度のある
畑の開発で30年ぐらいは余裕があると期待が膨らむ。
しかし、シラーやテンプラニーリョがよく実るようになったり、ケルナーが栽培しにくく
なったり、影響は大きそうである。
葡萄の傘かけは鳥害対策と雨除けで行っている。
樹齢70年の巨大な巨峰の木があった。すごい存在感。根元で記念撮影会となった。
もとやまそばの庄
蕎麦切り発祥の地で信州そばのランチ
井筒ワインのナイアガラがそばの新芽のお浸しやそばつゆによく合う。
ドメーヌKOUSEI
2016年からブドウ栽培をはじめる。元シャトーメルシャン桔梗ヶ原メルロー醸造長 味村興成氏が2019年に桔梗ヶ原の東側の片丘地区に設立。今、長野で最も注目される気鋭のワイナリー。メルローのみに特化したユニークな自園100%のワイナリー。
10haに13か所の畑, AからJまでのバラの花の名をつけた畑5haでメルローを栽培中。
収量50hl/haで3.5トンの葡萄から3万2千本のワインを造っている。
流石に葡萄の木は若いが、風の向きを大事に考え、南北の垣根ダブルギヨー1.5m間隔で
栽培。畑では 摘芯と除葉、グリーンハーベストの作業中。
収穫の予定は10月の上旬ごろになりそうだが、メルロー単一なので、トータル
200-230人で一気に一週間で取らなくてはならないのが大変。2トン/日を畑で選果
もしながら収穫とのこと。
元が肥沃な土地なので、肥料はやったことがなく、草をはやして窒素を減らしている。
刈り取った草が畑で堆肥状になっていた。
ピカピカの新しい醸造所に移動し、きちんと靴を履き替え、手を洗って見学。
メルロー単一なので、すべての設備が年1回しか使用できず効率が良くない。
樽はアメリカン1/3,フレンチ2/3 アメリカ樽も36か月シーズニングをした高級品。
2019年は初めての年で新ダルしかなかったので、100%新ダル10か月熟成
2020年は新ダル50%
2021年は1年樽と2年樽で16か月熟成
全てノンフィルター、ノンコラージュ、ノン人工冷却
試飲
2021 ロゼ セニエ
もう売り切れ。 淡いローズカラー ばらのフレーバーがしっかり 美味しい
2019 プライベートリザーブ メルロー フレンチオーク
まだ若さあり、美しいダークガーネット 肉と血のニュアンス ポテンシャル大
2019 プライベートリザーブ メルロー アメリカオーク
フレンチより濃い アメリカ樽のココナッツトーン ふくよか パウダリータンニン
こっちも美味しい
味村社長じきじきの熱い解説と奥様のおもてなしは感激でした。
奈良井宿
奈良井宿見学ののち松本ホテルブエナビスタへ
ホテル内のソールプレッサーにて懇親晩餐会
翌日
松本城、別所温泉近辺見学後
シャトー・メルシャン・マリコ・ヴィンヤード・ワイナリー
製造部の窪田博子氏の案内でウェルカムドリンクのまりこの泡NVで乾杯しながら見学スタート。2000年からのプロジェクトで2003年に植樹、2019年にワイナリー開設。
29haの広大な葡萄園に囲まれた最新式のワイナリー。2020年にワールドベストヴィンヤード トップ50に選ばれた。アジア初もちろん日本初 30位とのこと。地域、未来、自然との共生を目指している。農家の高齢化対策と1枚の大きな畑を手に入れたかったことから始まった。千曲川の左岸 風が強く病気が少なく、日照時間が長く日較差が大きい、雨の少ないテロワール。
畑の見学
16のブロックにメルロー、CS、CF、シラー、PV, PN, Ch, SB などを植えている。
シラーに良いロタンドンのフレーバーが出るとのこと。
30haで100トンの収穫がある。すべて垣根。メルローはギヨーダブル、シャルドネは
ギヨーサンプル、シラーはコルドン。クローバーのカバークロップがある。
醸造所の見学
グラビティフローシステムの最新式設備 窒素で酸化防止
300本の樽 ピエスとバリック 赤は15か月 白は12か月 が基本の熟成
ミディアムトーストのみ使用、15年ぐらい使いたいとのこと。
試飲
2019 シャトー・メルシャン マリコ SB
2020 シャトー・メルシャン マリコ シャルドネ
2017 シャトー・メルシャン 北信シャルドネ アンウッディド
2019 シャトー・メルシャン 北信左岸 シャルドネ リヴァリス
2017 シャトー・メルシャン 長野メルロー
2018 シャトー・メルシャン マリコ メルロー
和風弁当とのマリアージュも楽しかった。
信州たかやまワイナリー
気合の入った鷹野永一取締役醸造責任者の説明で見学。
世界一のシャルドネを作りたいと1996年にシャルドネを植えて、2015年にワイナリーを設立。松川の扇状地800m-400mに40ha 20社が点在。
4つの気候区分帯に70トンのいろいろなぶどうが80区画に植えられている。
町のプロジェクトとして研究会が中心になり、酒販店、町の人も参加して協力して盛り上
げている。町の人が飲まなくては良い産地にならないというのは正しいと思う。
試飲
2021 NACHO 白
Nachoシリーズはここの言葉で どう?(飲まない?)の意味 町の人用のワイン 色
々なぶどうが入っているフィールドブレンドタイプ
2019 NACHO 白
2021 バラエタルシリーズ SB
2019 バラエタルシリーズ シャルドネ
2019 バラエタルシリーズ PN
2019 バラエタルシリーズ Merlot&CS
2020 ラボシリーズ STW109 シャルドネ
2012 ラボシリーズ STW125 ツヴァイゲルトレーベ
長野駅にて解散
どこのワイナリーも真面目で一生懸命で主張があって、楽しいワイナリーであり人々で素
晴らしかった。とても良いワイナリーの選択で長野が元気というのがよく理解できた。
気候変動にも対応力があり現在63ワイナリーがさらに増えることを考えるとこれから
の長野にさらに期待が膨らむ有意義なツアーであった。
最後に企画準備を頂いた幹事の皆様と素晴らしい解説を頂いた剣持春夫顧問、バスを出していただきご協力いただいたホテルブエナビスタの皆様に厚く御礼申し上げます。
葡萄の騎士の会会員 淺田富彦
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